従業員4人以下で線引き? 改正食品衛生法HACCP基準

改正食品衛生法が6月13日に公布され、厚生労働省のホームページには法律の具体的な運用方針が少しずつ掲載されてきています。

多くの事業者さんの関心の的と思われるのがいわゆる基準AとBの線引きだと思います。

もちろん法律には基準という言葉はありませんが、

「食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理す るための取組」が基準Aに、
「小規模な営業者(中略)その他の政令で 定める営業者にあつては、その取り扱う食品の特性に応じた取組」が基準Bに該当します。ここでは便宜的に基準A、Bと記載します。

厚生労働省のホームページに掲載されている法改正の概要のうち、HACCPに沿った衛生管理という文書では、基準Aは「コーデックスのHACCP7原則に基づき、食品等事 業者自らが、使用する原材料や製造方法等に応 じ、計画を作成し、管理を行う」としています。対象事業者は「事業者の規模等を考慮」とされています。
一方、基準Bは「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を求め、「各業界団体が作成する手引書を参考に、簡略化された アプローチによる衛生管理を行う」内容とし、
「【対象事業者】
小規模事業者(*事業所の従業員数を基準に、関係者の意 見を聴き、今後、検討)
当該店舗での小売販売のみを目的とした製造・加工・調理事 業者(例:菓子の製造販売、食肉の販売、魚介類の販売、豆 腐の製造販売 等)
提供する食品の種類が多く、変更頻度が頻繁な業種(例:飲 食店、給食施設、そうざいの製造、弁当の製造 等)
一般衛生管理の対応で管理が可能な業種 等(例:包 装食品の販売、食品の保管、食品の運搬 等)」
と書かれています。当初は売上高も線引きの基準になるかと思われていましたが、明示されているのは従業員数です。中小企業基本法では、製造業は20人以下、商業、サービス業は5人以下を小規模事業者と定義されていますので、恐らくこの定義が流用されるものと思われます。農林水産省が調査しているHACCP普及に関する平成29年度調査では、従業員4人以下の事業所を初めて調査対象に加えていますので、ひっとすると4人で線引きされるかも知れません。

もう一つの基準が販売方法です。店舗での小売販売のみを目的とした事業者は基準Bとなりそうです。ただし、店頭以外にも近くのスーパーでも販売しているといった場合には基準Aが適用されることになります。その際、従業員数が加味されるのかどうかはまだ不明です。

適用時期は、公布から2年を超えないこととされていますので、あまり時間がありません。具体的な線引きの公表が待たれるところです。